2021/12/22 11:40



2021年も残り僅か。あと少しでクリスマス。

そんな年の瀬に、今回はいつもとちょっと違う感じの記事でございます。


心温まるお話を少し…




先日、女性のお客様がご来店。


いや、女性のお客様も結構いらっしゃるんですよ。ほんとに。


お洒落なファッションで、可愛らしい彼女は、一通り店内を眺められ、レコード棚をチェックされていた。


うーん。最近思うのは、大体皆さん歳下かなと。いや、会話をしないお客様もいらっしゃるので全て分かるわけではないけれど。


歳を取りましたね、私も。笑


すみません。。話を戻します…


「気になるレコードがあれば、ご試聴も出来ますので」。私は声をかけて、ストックのレコードに手を伸ばし、検盤しようとしていた時


「あの、すみません。。」


そのお客様が声をかけてこられた。


続けて

「レコードをプレゼントしようと思って。でもどれがいいかわからなくて。」




なーーーんと素敵な事でしょう!私は思わず口に出して


「いや、ほんと素敵ですね。レコードのプレゼント!」


と言うなり、お客様と話しながらレコード選びを始めた。


まず、少しの情報の中からなんとなくロック、ジャズ辺りを抜きながら、なるべくマニアックにならず、ジャケも良くて、もちろん中身も最高な1枚のレコードを探す。


その方のプレゼントなんだけど、なんだか自分の事のように嬉しかった。


お客様は、用事があるとの事で一度お店を出られて、18時半くらいに戻ってこられた。



この時、私はある小説の事を思い出していた。


村上春樹氏の処女作「風の歌を聴け」。


この中に、主人公がまさにレコードをプレゼントする為にレコード屋へ行き、3枚のレコードを買うシーンがある。


ビーチボーイズ「カリフォルニア・ガール」

マイルス・デイヴィス「ザ・ミュージングス・オブ・マイルス」

そして、

グレン・グールド「ベートーヴェン ピアノ協奏曲第3番」


この小説は好き過ぎていったい何回読んだかわからない。


とにかく、このシーンが頭の中をぐるぐる回っていたのだ…



私は5枚のレコードを準備して待っていた。

そのレコードで本当に良いのかは分からないが、自分の直感に素直にセレクトしたのだから、あとは彼女に決めてもらおう。


私は彼女とレコードと、その先にある彼に繋がる「音楽」の物語を楽しんでいたのかもしれない。


2人して、試聴したりジャケを眺めたりしながら悩むこと30分。


その方が選ばれたレコードはこの2枚。


ビーチボーイズ「ビーチボーイズ パーティー!」


エリック・クラプトン「安息の地を求めて」



素敵なプレゼントが選ばれました。クラプトンとビーチボーイズ。こんなプレゼント貰ったら自分だったら死ぬほど嬉しいぞ!ほんとに笑笑


彼女もすごく喜んでいらっしゃいましたし、よかった〜って穏やかな気持ちになりました。


コロナ禍において、レコードをプレゼント。


こんな素敵な事はありません。


こんな小さな、辺鄙な5階にあるレコード屋から、彼にレコードが届く。


彼女と彼にとって、素敵な2021年のクリスマスになりますように。。。




今年ブログをはじめて、つらつらと不定期にやってきましたが、最後にこのような記事が書けてありがたい限りです。


来年もボチボチと書いていきますので、どうぞ宜しくお願い致します。


少し早いですが、皆さま良いお年をお迎えください。


ありがとうございました!



KNOW  YOUR RIGHTS RECORDS 店主K